(03)(ひよこ豆のコロッケの

カルチャーショック)

ファラフェル・ガーデン / 岸えりな

私にはじめてファラフェルのおいしさを教えてくれたのは、同じ大学の軽音サークルで一緒にバンドを組んでいたカザムだった。田舎から京都に出てきてまだ間もない頃に、カザムが出町柳のファラフェル・ガーデンに連れて行ってくれた日のことをたまに思い出す。当時は「なんかめっちゃ美味しいコロッケみたいなもの」としか認識できてなかったファラフェルが包まれたピタパンを食べながら、おそらく観光客ではないけれど日本人ではなさそうな人たちが、ごく当たり前の京都での日常として店内にいる様子を目の当たりにして、私はこれまで見たことのない光景にものすごくカルチャーショックを受けたのだった。

カザムは学生の頃から、言語と料理の天才だった。私の下宿先で、カザムは定期的にお料理教室(という名の飲み会)を開いてくれていた。彼は貧乏学生だった私の部屋のあり得ない狭さのキッチンで、クスクスのサラダやドイツ風のオムレツ、ビーツのサラダなど、いろんな国の料理を次々につくってくれた。田舎育ちのおばあちゃんっ子で、世の中のことを何も知らなかった私は、カザムから世界の料理のおいしさを教わり、カザムの料理を通して世界の文化を知った。そしていろんな国の言葉を話していろんな国の食文化を知りいろんな国籍の人と交流しているカザムを見て、私は言語を学ぶことのほんとうの意味を知り、センター試験の英語の点数でイキっていた自分を恥じるのだった。

学生の街である京都には、不思議な懐の深さがある。長い歴史を持ちながら、どこか実験的で、新しいものを受け入れる軽やかさもある。街を歩けば、いろんな国の飲食店に出会う。もしかするとそれは、好奇心旺盛な学生たちが街に集まり続けているからなのかもしれない。

ファラフェル・ガーデン 

・住所

・アクセス
・営業時間

・住所

京都市上京区出川通り御前東入東今小路町774

・アクセス

市営バス「上七軒」停留所から徒歩3分

・営業時間

17:00-翌2:00(月曜日定休)

京都府京都市左京区田中上柳町15-2
京阪電車「出町柳」駅から徒歩2分
11:30-20:30(金〜日は〜21:00まで、水曜日定休)

岸 えりな / Erina Kishi

1994年兵庫県丹波市生まれ。同志社大学文学部出身。京都市南区のホテル「HOTEL SHE, KYOTO」「someone, kyoto」統括ブランドマネージャー兼ディレクター。

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